スティーブン・ギル氏
1971年イギリス・ブリストル生まれ、ロンドン在住。幼い時に、父親の影響で写真をはじめる。 10代の頃には、地元の写真スタジオで家族写真の撮影や古い写真の修復を手伝う。スピード現像のラボに勤務した後、フィルトン・カレッジ基礎コースで写真とアートを学ぶ。ロンドンのマグナム・フォトでアシスタントを務め、写真家として独立。ギルは、日常をユニークな視点で切りとったシリーズを多数展開している。 "Invisible"では、目立つために蛍光色の服を着て鉄道や町の工事を行う作業員が、むしろ景色に馴染んでしまっている矛盾に着目した。好奇心から生み出されるコンセプトと時代や社会を鋭く読み取るセンスに、ドキュメンタリー写真の魅力を融合しながら、新しい表現を切り拓いた。
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「手押し車を押す人」、「日帰り旅行」、「ロスト(迷子)」などや、写真自体を撮影したその場に埋めた「土の中に埋めた作品」シリーズなんてものもあります。「街の中の鳥たち」シリーズでは、テーマが鳥だからといって、画面から鳥以外のものを排除するのではなく、風景全体を取り込み、その中での鳥を撮ったので、探さないとわからないくらいの鳥の場合もあるんです。
「インヴィジヴル(目に見えないもの)」シリーズは、ロンドンシティで撮りました。本来ならば、蛍光色の作業服を着た人は、目を引くもの、注意をひかせるものとして存在するものですが、逆に風景に溶け込んで見えなくなっている面白さをとらえました。
以前、モノクロで写真を撮っていた頃は、もっとロマンティックなものや自分追求といったテーマで、旅をしながら写真を撮っていましたが、最近では、画像に入ってくるノイズや、いろいろなものが視覚的に画面に入ってくるのが好きになりました。だから、旅よりロンドンで写真を撮ることが多くなりましたね。
イーストロンドンにハックニーウィックという、かつて産業が栄え活気溢れていたのが、今は衰退して自然があちこちに混在している街があるんですが、そこを約100円のインスタントカメラで撮ったシリーズがあります。それから、ハックニーウィックで撮ってきた花を、ハックニーウィックの写真の上に置いて、それをさらに写真を撮った「花」シリーズもあります。このように重層的なイメージを込めた作品に面白さを感じますね。
セミナー
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日常からテーマを探す
私は日常をあるテーマで切り取ったシリーズを数多く発表してきました。「歌を聴いている人」というシリーズでは写真のタイトルを、写真に写ってる人がそのとき聴いている曲名と歌手名にしてみた。写真にただ写ってることだけじゃなく、見た人がそこからイメージを広げていけることが写真の面白さでもあると思うんです。「手押し車を押す人」、「日帰り旅行」、「ロスト(迷子)」などや、写真自体を撮影したその場に埋めた「土の中に埋めた作品」シリーズなんてものもあります。「街の中の鳥たち」シリーズでは、テーマが鳥だからといって、画面から鳥以外のものを排除するのではなく、風景全体を取り込み、その中での鳥を撮ったので、探さないとわからないくらいの鳥の場合もあるんです。
ユニークな着眼点
広告看板の裏側を撮ったシリーズがあります。広告というものは本来、何かを見せ、何かを売るために存在するもので、みなさんは前からしか見ませんし、前から見るからこそて意義あるものですが、このシリーズは、それを逆手に取りました。後ろから撮っているということは何の広告だかわからないし、何を売りたいかも、何を訴えたいかもわからない。作品のタイトルは、前を通るとわかる看板の内容がそのままタイトルになっているんです。化粧品のロレアルの看板は「君に価値あるからこそロレアルを使おう」となっており、そのまま作品タイトルにしました。「インヴィジヴル(目に見えないもの)」シリーズは、ロンドンシティで撮りました。本来ならば、蛍光色の作業服を着た人は、目を引くもの、注意をひかせるものとして存在するものですが、逆に風景に溶け込んで見えなくなっている面白さをとらえました。
以前、モノクロで写真を撮っていた頃は、もっとロマンティックなものや自分追求といったテーマで、旅をしながら写真を撮っていましたが、最近では、画像に入ってくるノイズや、いろいろなものが視覚的に画面に入ってくるのが好きになりました。だから、旅よりロンドンで写真を撮ることが多くなりましたね。
イーストロンドンにハックニーウィックという、かつて産業が栄え活気溢れていたのが、今は衰退して自然があちこちに混在している街があるんですが、そこを約100円のインスタントカメラで撮ったシリーズがあります。それから、ハックニーウィックで撮ってきた花を、ハックニーウィックの写真の上に置いて、それをさらに写真を撮った「花」シリーズもあります。このように重層的なイメージを込めた作品に面白さを感じますね。
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