「情報インフラの整備を!」
Ⅱ PandAインタビューシリーズ「この人に聞きたい!」 第1回 大寺聡さん
CHAPTER 4 「情報インフラの整備を!」
早川)
今後、どんなことをやっていきたいですか?
大寺)
実は僕が今住んでいる、日置市永吉のこの地域もそうなんですが、鹿児島にはけっこうあと何年かしたら集落の機能がなくなると言われているところがあるんです。
ここもどんどん不便になってまして、それをなんとかくい止めて人を呼び戻すにはどうしたらいいかということをよく考えるんです。すごい抽象的なんですが、ただ、イラストやデザインで何ができるんだという歯がゆさがありまして。
早川)
地方の人口減少や郡部での過疎化はずっと進行してますものね。
大寺)
美術館的なイメージの施設であるとか、地元の商店街からの町おこし策とか、何かやりたいんですよね。
とにかく郡部は鉄道もどんどん廃線になって、道路をよくすれば人はどんどん流れ出ていってしまう。ここでは鹿児島市内へ行くバスも一昨年なくなったんです。
今は、クルマのない人は、伊集院に一旦出て、そこから列車でいくしかない。
引っ越した方が安あがりだってことで出ていく人が多いとは思うんですが、ただ、残る方々はその土地を守っていくという意識でいますから、簡単に引っ越すという訳にはいかない。
だから新たに人が入って来るような、この地域自体を魅力的にする仕掛けを作りたいんです。そんな中、情報インフラは地方に人をとどめる有効策なのに、鹿児島は全国の中でもとくに遅く、ここには ADSLさえ来ていない。
早川)
ええっ!そうなんですか!
大寺)
今はネットコンテンツのほとんどがブロードバンドを基準にしてるんですけどねえ。
NTTも九州電力も動かないので、あとは行政が主導でやっていってもらうしかないので役場にも陳情書を出したんですよ。
早川)
確かにクリエイターの方々の中では、ネット環境を利用すれば地方でも中央の仕事ができるようになったということで、地方在住される方も増えたと聞きますが、そういう意味で情報インフラ、なんとか改善されるように祈ってます。お忙しいところありがとうございました。
取材を終えて
いつも、のびやかで小気味良い、大寺さんの作品世界が好きな私ですが、すべてが彼の描きたいモノではない(かもしれない)というのは驚きでした。クライアントの希望なら、自分は「緑」がいいと思うところも「赤」に変える。普段、ファインアート(※1)を中心に接している私には、それと対局にある世界を感じました。そして、でも実は、そういう価値観で作られているモノの方が、世の中にはたくさんあることにも改めて気づいたりして・・・。そうでありながら、誰が見ても「あ、大寺さんの作品だ♪」とわかる彼の絵。やっぱりスゴイって思う。でも・・・一度でいいから、その1から10まで好きなものを描いた絵っていうのも見てみたいなぁ。(早川)※1ファインアート:「商業美術」に対して、芸術的な意図のもとに制作されたものとしての)美術。絵画・彫刻・建築など
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この人に聞きたい!
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