文化ボランティアの活躍と成果@触れるArtsProject2008
かわなべ森の芸術祭で開催した「触れる造形展2008」では、PandA独自の研修を受けた文化ボランティアのみなさんに活躍していただきました。 出展作家のみなさまに趣旨にご賛同いただき、すべての作品に触れることができるとはいえ、それはこの展覧会だけの特別なこと。そのことを身をもってお伝えしていただいたのが文化ボランティアのみなさんです。出展作品の保護と鑑賞者の安全確保を第一の目的とした、1ヶ月以上にわたる養成研修に続き、会場のさまざまな準備や作品の搬入、搬出、会場でのサポートなど、 何もかも初めてでとまどいもある中、一緒に展覧会を作っていく、深く関わっていくという、 「アート」のひとつの楽しみ方を体験をしていただきました。私自身、常に前向きで積極的なみなさんに大いに励まされ、最後まで無事乗り越えられただけでなく、 多くの素晴らしい思い出ができました。 文化ボランティアのみなさん、本当にごくろうさまでした。 |
2008年11月24日 かわなべ森の学校にて 早川由美子 |
●PandAの文化ボランティア事業 |
研修とその成果を試す場としての展覧会を合わせたこのスタイルは、参加者にとっては、ハラハラドキドキ大変な面もありますが、より大きな達成感が得られるのも大きな魅力のひとつです。 研修では、「作品を守れるのはみなさんだけです」と、「触れる」ことによるハイリスクと任務の重要性を説き、そして、そのリスクの回避方法や楽しみ方を学んでいきます。大変だからこそ楽しんで!という進め方でモチベーションが自然に上がっていき、展覧会では初めて会う人に声をかけられるようになり、「ありがとう」と喜ばれたお客様の笑顔を見ると、この上ない感動と充実感で心がいっぱいになります。これが達成感として表れてくるのです。 これまでに、100人以上の方が経験されています。その経験者が一様に感じているのが、「ボランティア」の本当の意味のように思います。もともと「ボランティア」文化というものの素地がない日本では、「ボランティア」を「人のためにすること」と捉えがちですが、ここで経験された方々の多くは、「ボランティア」は「自分のためである」と気づかれるようです。 もちろん、行為そのものは誰かのためであるのですが、それ以上に自分も多くのことを得ていることを実感できるからだと思います。そして、それを自分のライフスタイルの中のどこかで生かすことができることを想像できるからだと思います。 そう思えたら、それはもうしっかり自分のものです。円滑な対人関係の築き方やさまざまな場面でのちょっとしたおもてなしの心など、きっとみなさん自然にできているのではないでしょうか。 ほんのちょっとしたことだけど、もっとこう言えばよかったなとか、なんであの時手を差し伸べることができなかったのだろうとか、ずっと心の奥に寂しさが残ってしまうような出会いややりとりを繰り返すうちに本当に心が固くなってしまうことってあると思うんです。 それを一歩踏み出せるようになるのがこのPandAの文化ボランティア事業なのです。一歩踏み出すこと、それは立派な「表現」です。自分らしい表現。日常の中でアートを楽しむことは、そういったことの積み重ねの延長にあると思っています。作品を創り出すことやその作品だけがアートではなくて、自分の有り様や人との関わり方の中で自分を表現すること、そのことがアートであり、特別な人たちが作り出す作品をアートとして楽しむ心もそういった中で生まれてくるのだと思っています。 研修の中でも必ず出てくる「鑑賞者開発」。言葉は堅いですが、要は芸術界が成り立つには芸術を楽しむ人がいないとだめですよということ。「”生きる”ことを楽しむことが芸術を楽しむということ」と、この研修を受けたみなさんはきっと自分自身で気づいたと思うのですが、みなさん、いかがですか?
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●文化ボランティアのみなさんの活躍の様子 | ||
ボランティアスタッフは、同じ芸術祭オリジナルTシャツを身につけ、それぞれの役目を背負って走り回りました。 | ||
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