「触れる」造形展2007研修概要
●2007年度事業概要 |
■なぜ、文化ボランティア養成講座なのか。 |
昨年、鹿児島で初めてとなる、すべての出品作品に触れることのできる展覧会「触れる作品展 2006 」を開催し、視覚に障害のある方などこれまで芸術鑑賞の機会のなかった方々も含め、多くの来場者にお越しいただきました。 その際、寄せられた多くのアンケート結果を踏まえ、また今年も開催することを決定しました。 さらに、今年はその展覧会に先駆けて、昨年、来場者にも好評だった文化ボランティアの方々の養成研修を行い、ボランティアの方々に更に充実した楽しい時間を過ごしていただきながら、一緒に展覧会を作っていく新たな試みを行うことになりました。 作品解説や単なる案内をする方々の研修ではなく、「アート」のさまざまな楽しみ方や、作家が作品を作るということはどういうことなのかなど、「作る」「観る」以外の芸術との関わり方を体験していただくことで、実は、際限なく広がる「アート」の世界を感じていただく。そして、そういう楽しさを少しでも知っている方々が展覧会会場にいるだけで来場者に自然と楽しさは伝わっていくと考えたからです。 |
■文化ボランティア養成研修日程 |
10月6日(土)~12月17日(月) 10回 |
研修カリキュラム | 予定日時 | 講師 | 開催場所、
研修タイトルと内容等 |
基礎講座(3回) | ※鹿児島市ボランティアセンター
(鹿児島市山下町15-1) TEL:099-221-6070 |
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・開講式
・コミュニケーションスキルアップ |
10/6(土)
14:00~18:00 |
入本 敏也 | 市教育総合センター
・開講式 14:00~15:00 ・研修 15:15~17:45 |
・視聴覚、身体に障害のある方々のこと | 10/10(水)
19:00~21:00 |
平野 トシミ | 市ボランティアセンター |
・知的な障害がある方々のこと | 10/17(水)
19:00~21:00 |
福森 伸 | 市ボランティアセンター |
特別講座(7回) | ※すべて鹿児島市教育総合センター
(鹿児島市山下町6-1 ※宝山ホール裏) TEL:099-227-1971 |
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・実際の作品を使ってのコーディネーターとしての心構えと方法論など Ⅰ | 10/23(火)
19:00~21:00 |
藤 浩志 | 違和感からはじまる
モノ・コト |
・アーツマネジメント | 10/30(火)
19:00~21:00 |
早川 由美子 | ヨーロッパと日本各地の芸術NPOの活動を通して |
・実際の作品を使ってのコーディネーターとしての心構えと方法論など Ⅱ | 11/13(火)
19:00~21:00 |
ヤマグチ アキコ | 布(ヌノ)→作品(ヌノ)
ワークショップ |
・美術教育普及論
(アートエデュケーション) |
11/20(火)
19:00~21:00 |
濵元 良太 | 美術館教育のホスピタリティとその実際 |
・実際の作品を使ってのコーディネーターとしての心構えと方法論など Ⅲ | 11/27(火)
19:00~21:00 |
宮薗 広幸 | インスタレーション実習 |
・実際の作品を使ってのコーディネーターとしての心構えと方法論など Ⅳ | 12/4(火)
19:00~21:00 |
桃北 勇一 | 作品が生まれる時 |
・実際の作品を使ってのコーディネーターとしての心構えと方法論など Ⅴ | 12/11(火)
19:00~21:00 |
竹 道久 | 彫刻とは何か
~自作を通して~ |
・総論-ディスカッション
(現場での確認作業を含む) |
12/17(月)
10:00~18:00 |
参加作家 | (搬入・設置) |
講師の紹介
●入本 敏也(Irimoto,Toshiya) | ||
<講師プロフィール> 1962年生まれ。 現在NPO法人かごしま子ども芸術センター事務局長。 1997年に国際芸術見本市でインプロに出会い、2001年より定期的に専門家のワークショップを受講。小学校や地域の家庭教育学級研修会や、県内の子ども劇場などでも ワーク講師を務める。平成19年1~3月は菱刈町生涯学習課の「いきいき!元気リフレッシュ教室」で11回のワークショップを担当。 インプロ鹿児島「七味唐辛子」主宰。 インプロ九州代表世話人 |
<研修内容概要> 即興演劇のトレーニングに使われる様々な”インプロ・ゲーム”を用いて、コミュニケーションの基本的な要素を再確認していきます |
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●福森 伸(Fukumori,Shin) | ||
<講師プロフィール> 知的障害者支援施設 しょうぶ学園 施設長 小規模通所授産施設 クラフトしょうぶ施設長 社会福祉士 1959年 鹿児島生まれ 日本体育大学体育学部卒。1983年よりしょうぶ学園に勤務。木材工芸デザインを独学し、1985年障害者施設の中に「工房しょうぶ」を設立。工芸・芸術・音楽等、知的障害をもつ人のさまざまな表現活動を通じて社会とのコミュニケート活動をプロデュースしている。福祉施設経営に従事する中、特に2000年頃より縫うことにこだわってプロデュースした「nui project」は、アメリカ他日本各地で作品が高く評価されている。また、しょうぶ学園の改築のための建築デザインに伴い、「家具プロジェクト」を立ち上げ「衣食住+コミュニケーション」をテーマにした新しい[SHOBU STYLE]を模索している。 |
<研修内容概要> 1.《知的障害という障害》 2.《ノーマライゼーション》(normalization) ・バリアフリー・ユニバーサルデザインを考える 3.《知的障害者ケアマネージメント》(考え方) 4.《エンパワメントとしての活動支援》~PEOPLE FIRSTの理念 5.《工房しょうぶのアート&クラフト活動》 ・右脳と左脳の働き ・問題は障害者ではなく「自分自身」の中にある |
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●平野 トシミ(Hirano,Toshimi) | ||
<講師プロフィール> 盲導犬使用者を応援するボランティア団体アイリング副会長。NPO法人PandA会員 NPO支援を目的とするNPO法人のスタッフとして、起業家育成・ボランティア養成などの講座、様々なイベント・セミナー等のコーディネートを経験。 現在はITを活用した情報発信を支援する会社に勤めながら、様々なボランティア活動やイベント企画等を行っている。 |
<研修内容概要> 身体障害者と接する時の心構え。車椅子、アイマスクを使用して、障害の疑似体験。視覚障害者の誘導、案内の方法。車椅子を押す際の注意。 |
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●藤 浩志(Fuji, Hiroshi) ※造形展出展作家 | ||
<講師プロフィール> 藤浩志企画制作室代表、RSPS Lab.主宰、美術家 1960年鹿児島生まれ。1985年京都市立芸術大学大学院美術研究科修了後、パプアニューギニア国立芸術大学講師(1986-88)、都市計画コンサルタント勤務(1988-92)を経て1992年藤浩志企画制作室を設立。地域資源、適正技術、協力関係を基盤としたジャンルに捉われない活動の企画・制作を試みる。 主な作品:「鴨川泳いだこいのぼり」(1983)、「ゴジラとハニワの関係」(1984-85)、「ヤセ犬の散歩」(1988-96)、「media garden Eスペイス」(1989-)、「お米の砂漠、犬のおしっこ」(1991)、「お米のカエル物語」(1992-95)、絵本「たけのはし」(1996)、複合ビル「e-terrace」 (1998)、「Vinyl Plastics Connection」(1999-2003)、「Kaekko」(2000-)、ミーティングテーブル「「plants!」。 近年の活動としては、「Useless Selection」、「楽園の鳥」「Happy ring」「Birdlodge Project」等がある。 |
<研修内容概要> 美術作品と表現活動について、あるいは表現者(作家)とマネジメントの関係について、僕が関わってきた全国各地の展覧会やアートプロジェクトの具体的な事例を紹介しながらお話したいと思います。 |
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●早川 由美子(Hayakawa,Yumiko) | ||
<講師プロフィール> NPO法人 文化芸術支援NPO PandA、理事長 1966年鹿児島生まれ。小さい頃から絵を描くのが大好き。独学で絵の勉強をする。1993年帰鹿。1997年~2001年、東京都美術館 現代童画展出展、個展4回開催。2003年 アーツ・マネジメントを修得、実例研究の後、芸術NPOを立ち上げる準備を始める。2004年 文化芸術支援NPO PandAを設立し、広く芸術活動をサポートする活動を始める。勤務先を退社。2005年 法人格を取得。現在に至る。 |
<研修内容概要> ヨーロッパや日本各地の芸術NPOの活動を紹介しながら、芸術が人や地域や社会とどのように関わっていくことができるのか、芸術の新しい楽しみ方の広がりを感じていただければと思います。 |
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●ヤマグチ アキコ(Yamaguchi,Akiko) ※造形展出展作家 | ||
<講師プロフィール> 1967年 鹿児島市生まれ。1992年 南九州現代彫刻展。1993~97年 ART LIVE。1998年 CROSS、アーバナート展 渋谷パルコ。1999年 個展 ホワイトギャラリー。2000年 個展 アートスペース獏(福岡)、霧島アートの森美術館「ゆらよん変異形態」制作。2001年 ナイーブアート展 銀座ペッパーズギャラリー。2003年 愛と平和のアート展 宮崎県立美術館。2006年 AJAC鹿児島展 |
<研修内容概要> “ゆらよん”を作ろう “ゆらよん”は布でできています。それは、触れてほしい、なでて欲しいからです。 私たちが赤ちゃんの時に最初に触れるものは、布(衣服)です。ぬいぐるみや布団、タオルなど一番身近な素材で布の立体作品”ゆらよん”を作りましょう! 材料は、針と糸、ハサミ、布(綿、Tシャツ※色モノ可 1~2枚、レーヨン・ポリエステル系の薄手は不可) |
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●濵元 良太(Hamamoto,Ryota) | ||
<講師プロフィール> 鹿屋市出身。国・公・私立小・中・高校教員、県文化振興課主査、霧島アートの森学芸専門員、鹿児島市教委学校教育課指導主査を経て、現在、鹿児島市立美術館学芸員、県美育協会顧問、県美術協会会員 教育活動として、全国教育美術振動財団功労賞、美術教育論文県教育委員会賞、他 作家活動として、県美展知事賞、南日本美術展秀作賞、他 今の趣味は、秋葉原~神保町を極めること、水晶掘り、飛行機の写真を撮ること、磯釣り、渓流釣り、えび漁り、コガネムシ採集、他 |
<研修内容概要> 美術館教育の本質やその目指すべきもの、教育普及におけるスペシャリティー(専門性)とホスピタリティー(心遣い)の関係などについて、実際の美術館の解説書、ワークシート、ギャラリートーク、案内・解説、ワークショップなどの具体的で実践的な例を通して、共に考えを深めていきます。 |
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●宮薗 広幸(Miyazono,Hiroyuki) ※造形展出展作家 | ||
<講師プロフィール> 1961年生まれ鹿屋市出身。 1984年武蔵野美術大学造形学部卒業 1987年~青年海外協力隊参加(ザンビア 2年間) 1992年~在外教育施設日本人学校勤務(マレーシア 3年間) 1999年~鹿児島県霧島アートの森学芸員 2005年~松陽高等学校美術科勤務 現在 日本美術家連盟会員、日本アフリカ学会会員 |
<研修内容の概要> ・インスタレーション演習 立体造形を空間を意識して展開する実習です。紙粘土を使用して簡単な作業をしますので、手を拭くタオルなど御準備下さい。 |
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●桃北 勇一(Momokita,Yuichi) ※造形展出展作家 | ||
<講師プロフィール> 1964年生まれ。近畿大学建築学科卒。大阪のビル建設会社を約20年前に退社。家業の金属加工業を継ぎ、現在、桃北工業社長。 約8年ほど前から独学で作品を作り始め、このほど地域文化発展の功績を表彰したかぎん文化財団に、「将来、県の彫刻界をリードするものと期待される」と評価される。 作品は鉄を素材とした抽象的なものが中心。「硬くて冷たいイメージを、いかに軽く温かく見せるか」がテーマ。 |
<研修内容概要> 「何を表現したのか」とよく聞かれる。決まって「何だと思うか」と聞き返す。「相手の返事が正解。感じてくれた通りでいい。芸術に正解はない」 だれに師事することもなく「好き勝手」につくる。そんな作品が生まれる時をお話します。 |
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●竹 道久(Take,Michihisa) ※造形展出展作家 | ||
<講師プロフィール> 1948年鹿児島に生まれる。1980年東京芸術大学大学院修了後、南日本美術展で鹿児島市長賞、優秀賞と連続入賞し、1982年第4回パリ賞を受賞する。翌年、鹿児島県海外派遣美術留学生として1年間フランスに留学し、帰国後、滞欧作品展を鹿児島県歴史資料センター黎明館で開催する。彫刻の素材としては石やブロンズを用い、野外作品を主とした制作、発表を続けている。 主な作品に「語らい」(鹿児島国際ジャングルパーク)、「風の道標」「想」(長島美術館)、「憩い」(鹿児島市健康の森公園)、「ひだまり」(霧島アートの森)、新西田橋モニュメント「緑の翼」(鹿児島市甲突川)、有吉佐和子文学碑「私は忘れない」(黒島・三島村大里)、里村村制100周年記念碑「里の風」(甑島・里)、熊襲の穴モニュメント「神々の想い」(隼人町妙見温泉)等がある。 現在 二科会会員 南日本美術展委嘱作家 県立甲南高等学校美術教諭 |
<研修内容概要> 彫刻とは何か ?自作を通して? 一口に「彫刻」と言っても具象、抽象のオーソドックスなものから電動仕掛けの造形、インスタレーションその他諸々、多岐にわたっている。そこで彫刻の歴史に少し触れながら私の作品も紹介し「彫刻とは何か」を一緒に考えてみたいと思います。 |
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