アートマネジメントセミナーが終わって

アーツマネージメントと私の出会いは、ホームページの「PandAができたのは」を見ていただいたらわかると思う。

今回のアートマネジメントセミナーを受けたのは、ブラッシュアップもその目的だったが、最も大きな理由は、総括的にいろんなことを確認したかったからだ。

大学で学び、独自の市場調査に約1年を費やし、確かな手応えを感じながらNPOを立ち上げ、手探りで進んできた日々の中で、何かよくわからないけど自分が信じてぶれないある確信が何なのか、もう何度読み聞きしたかわからないバイブルとなっている教材だが、逆にそれだけで実践、検証を繰り返してきた我がアーツマネジメントは本当に世の中に通用するものなのか、など「手探り」に自分なりの「評価」をしなければならないと思ったからだ。

8年前、県からNPO法人の認証を受けるとアートNPO第一号であった。「文化芸術で社会貢献とはどんな活動をするんですか?」と聞かれる程だった。
実践、検証を繰り返す手探りの日々。それでも、やっぱりぶれない何かが私の中にある。何なのか。何に動かされているのか。

ある年の「触れる造形展」で展示作品が破損していることが搬出日にわかるという事件が起きた。研修を受けた文化ボランティアを鑑賞者とほぼマンツーマンになる程配置し万全を期していたにも関わらず事件は起きた。作家に土下座をして謝罪した。NPOをやめようとも思ったが、土下座をしても大事だと思ったものは何だったのか。それでも前へ進むことの方がいいと思ったものは何だったのか。何が自分を動かしているのか。

今回のセミナーの中で、人や社会をアートでつなぐアートマネジメントは、今の時代にまさに求められていることだと何度も聞いた。
自殺未遂をし帰鹿した19年前。自殺に自身を追い込んだのは、絶対的な信頼を裏切られ、すべての「人のつながり」が切れたように思えたことだろうと今はわかる。すべての人とのつながりが切れる事はあり得ないのだろうけど。あり得ないと思いたい。
311でも起きてしまった悲しい結末は、まさに「人のつながり」が切れたように思ったからだろうと思う。
私の中で確信し、私が常に動かされている大きな力は、それなんだと思う。本当の心のつながりが何より重要であるということ。それを万人に、社会に、大きく働きかける事ができるのがアートの力だと確信したんだと思う。

今まさにその時代が来ている!と背中を押されたアートマネジメントセミナー。手探りで築いてきた実績やそこから導いた考えも、アカデミックなものに裏打ちされるものであったこともとてもうれしかった。
ぶれない確信は、ますます私を動かしていくことだろう。

NPO法人PandA  代表  早川由美子

※アーツマネジメントとアートマネジメントを使い分けています。私は個人的にアーツマネジメントを使うのがいいと思っているのです。併記していることをご了承ください。