イベント大成功

イベント、大成功


そして、すべての企画について、この写真展を開催することが鹿児島にとってどんな意味があり、それらを自分たちがどう受け止め、さらにどう自分たちのものにしていったらいいのかを、参加する人、鑑賞する人それぞれが、それぞれの感じ方で受け止められるような趣旨、テーマにしようと考えた。それには、まず参加してみいなと思う楽しさが伝わる掴みと、写真家と近い距離で交流しながらじっくりと考えることができるなと想像できる場の設定が不可欠と考え、この三つの企画の決定となった。

結果、あの現地で話した構想通りの内容が実現した。多くの協力者があったこともさることながら関心の高さを物語るようにセミナーもワークショップも定員オーバーでの開催となった。そして、シンポジウムでは、まだ話を続けたいよねという空気が会場いっぱいに広がったまま幕となった。

外からの目を通して、見過ごしている鹿児島の魅力や問題点に気づいて欲しい、自分だけの鹿児島を見つけて欲しい、そして、この足下の「鹿児島」のさまざまなことにもっと関心を持って自分なりに考えて欲しいという私の想いのほかにも、同じ鹿児島を見ているはずの地元の私たち同士も、見えているものはみんな違うということ、だからお互いを認めることがより豊かな鹿児島を作っていけるのではないかなど、素晴らしいディスカッションとなった。こんな言ってはなんだが、「写真展を開催する」というただそれだけのことでここまで深く掘り下げることが可能なのかと逆に驚くほどであった。









写真展開催へ


そして、いよいよ写真展の開幕。この写真展全体のテーマでもある「身近すぎて見過ごしていた私たちの現在」を感じて頂くためにも、最もいい状況、環境で見ていただこうと、文化ボランティアのみなさんに会場係として入っていただいた。すべての関連企画に参加してもらい、「アートと鑑賞者をつなぐ人」として独自カリキュラムの研修を受けて頂いたボランティアの皆さんである。

12日間で4,000人以上の来場者を迎え、そのうちの約1,500人からアンケートの回答があり、連日のリピーターも含め関心の高さが窺えた。アンケート自体も、これまでにアンケートの回答としては見たことがないような長文が多く目についた。

バインダーをたくさん用意し、入場の際にお渡しし、自分のペースで見ながらその都度書けたせいか、気になる作品のところを何度も行き来し書き込む姿を多くお見かけした。或いは、エッセイコンテスト出品のための構想も併せて思い巡らしていたのかもしれない。全般的に会場における滞在時間が長かったことも顕著であった。

そのアンケートから窺い知る来場者の思いは、セミナーやシンポジウムで伝えたかった思いそのままであった。それぞれの「写真」を通してしっかりとそれは伝わっていた。「素晴らしい」と思わず言葉が口をついて出るような感想もあった。





来場者の感受性に脱帽


私は、約3ヶ月とはいえ、集中して深く関わった者として、写真展を開催する趣旨や思いは、当然理解していたわけだが、ポスターやチラシ、新聞等を見て来場され、初めて写真を目にし、ましてや写真家の顔も知らない人たちが、その「写真」から受ける印象だけでそれらを感じ取っていることに驚いた。

アンケートに書かれていた言葉通り、この鹿児島を深く愛し、大事に思っている人たちである。老若男女問わず、多くの人たちがそうであることがわかった。また、今回の写真展を通して、自分が鹿児島を大好きである事を知った、大切なものであることを知ったという人も多くいた。

写真としては大きい画面で、スポットライトを当てた観せ方による効果というものももちろんあると思うが、初めて写真集を見た時、心揺さぶられるものがなかった自分自身が、実は一番鹿児島のことをわかっていなかったのではないかと思った。

この鹿児島でNPO活動をする者のひとりとして、「鹿児島」に向き合う自分自身のこと、同じくここに住む多くの人たちの思いがわかっただけでも私にとって貴重な体験といえるのではないだろうか。今後も、この経験と、今回広がった「アートとしての写真」の世界、そしてネットワークを大事にして活動を続けたいと心から思った。



写真展を振り返って
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