野外オペラ「ヘンゼルとグレーテル森のシーンより」


 

ごあいさつ

中 村 か し 子


 今回、「ヘンゼルとグレーテル」のオペラを上演させて頂きます事を心から喜んでおります。これはドイツのロマンチック・メルヘンオペラの代表的作曲家フンパーディングの作品で、世界の数多くの子供達に親しまれているものの一つです。それは子供達にとってはお菓子の家や魔女の登場など、夢と空想をかき立てられる作品だからです。
 今でもドイツのハールツ地方には魔女伝説が残っていて、魔女達が使ったと言われる釜戸や集会場のような岩場を見ることが出来ます。また魔女の通り道と言われる小道もあちこちにあります。森の奥深く道に迷い込んだヘンゼルとグレーテルは、さぞ怖い思いをしたことでしょう!
 さて物語の主人公は子供達ですが、本公演では家族思いの父親ペーターの目線のナレーションによって物語が進行します。母親はしつけの厳しい継母のような性格にされていますが、それは明日のパンにも事欠く貧しさのせいであって、森の中を必死になって子供達を探し回る様子は、やはり愛情あってこそだという事が良く分かります。
 かわなべ森の学校の自然を背景に繰り広げられるメルヘンオペラ。夢とファンタジーの世界。野外オペラの良さを是非体感して頂ければと思っております。尚オペラは抜粋で上演されるため途中あらすじが分かるように所々会話やナレーションを入れ、最後はヘンゼルとグレーテルが魔女の所から宝石を持って家に帰る途中両親と巡り会う様に脚色しました。"昔々ある所に"で始まり、"めでたし、めでたし"で終わるおとぎ話。さあ、どんな出来事が私達を待っているのでしょうか。
 最後に、今回の公演が皆様にとって心暖まる思い出になるよう願っております。



日 時 2008年11月22日(土) PM 4:00開場 PM 4:30開演
場 所 かわなべ森の学校校庭(南九州市旧長谷小学校)
入場券 一般2,000円 学生1,000円 親子2,500円


協賛 鹿児島リバティライオンズクラブ、株式会社カクイックスウィング、有限会社えこふぁ~む、レクサス鹿児島東開
協力 (有)リフォームわかな、青山美容室、松田ピアノ友社、(有)ワードアップ
後援 鹿児島県文化振興財団、鹿児島県南薩地域振興局、南九州市、南九州市教育委員会、南日本新聞社、西日本新聞社、朝日新聞社鹿児島総局、毎日新聞社、読売新聞西部本社、NHK鹿児島放送局、MBC南日本放送、KTS鹿児島テレビ放送、KKB鹿児島放送、KYT鹿児島読売テレビ、MBCラジオ、エフエム鹿児島、鹿児島シティエフエム、FMかのや、FMきもつき、FM志布志



「ヘンゼルとグレーテル」~オペラとそのあらすじ~

小 谷 裕 幸 (こだに ひろゆき)


 これはご存知、グリム童話のひとつです。貧しい木こりの父と母(まま母)が幼い子ども二人を森に捨てます。捨てられた二人は森の中をさまよっているうちにお菓子の家を発見します。そこには恐ろしい人食いの魔女が住んでいて、ヘンゼルは家畜小屋に入れられ、グレーテルは家事の手伝いをさせられます。
 いよいよ魔女がヘンゼルを食べようとする時にグレーテルが機転をきかせて魔女をやっつけ、ヘンゼルを救い出し、その家にあった真珠や宝石を持って逃げ出し、再び家へ帰ります。子どもを捨てるように言い張ったまま母はもう亡くなっていて、それからは父と三人で仲良く幸せに暮らします。
 今日のオペラは、この原作とはいろいろちがっております。まず、オペラに登場する父はほうき売りです。とても貧しいのですが、今日は珍しく箒がよく売れたので上機嫌で、食べ物をいっぱい買って来ます。母は実母です。子ども達は手伝いを怠けた罰として森に苺摘みに行かされます。両親は子捨てはせず、森に迷い込んだ子ども達を必死になって探しまわり、感激の再会を果たします。魔女退治も、子ども達二人の協力によってなされます。また、眠りの精、天使、露の精が登場します。魔女は焼かれてコショウ入りケーキみたいな形になります。
 今日のオペラは終始家族愛に満ちております。貧しい中での兄と妹、親と子の暖かい心の通い合いは、音楽と演技でどのように表現されるのでしょうか。乞うご期待です。





キャスト


お父さん   小谷裕幸
お母さん   樋渡かおり
ヘンゼル   手塚洋子
グレーテル   松崎めぐみ
魔女   竹之内照美
眠りの精/天使   樺木野瑠津子
露の精/天使   北野みどり


スタッフ


演出・脚色   中村かしこ
音響・照明   MBCサンステージ
大道具製作   (有)リフォームわかな
お菓子の家制作   米倉秀太郎
衣装制作   寺田真子
ヘアー・メイク   青山美容室
ナレーション   小谷裕幸
ピアノ   高取裕美
カッコウ   庵地優里花



プロフィール



中村かし子

鹿児島県高山市(現在肝付町)に6人姉妹の4女として生まれる。
旧鹿児島短期大学(現在鹿児島国際大学短期大学部)入学。同大学専攻科終了。その間、池端ミチ子氏に師事する。
1979年旧西ドイツデトモルト国立音楽大学に留学。
1985年マースタークラス、リートオラトリオ科、オペラ科首席で卒業。ディプロム取得。
1989年同大学ドイツ国家演奏家資格試験(コンサート・エグザーメン)終了後、ドイツ国家演奏家となる。その間、ヘルムート・クレッチュマール教授、ライナー・ヴェーバー教授、ペーター・ヤコビ教授に師事する。
1988年、シュレスヴィーク・ホルシュタイン州立歌劇場と専属契約を結び、多年に渡り数多くの主役を演じる。その間40以上のレパートリーを持ち、通算500回以上のオペラ公演に出演する。
1990年オペラ専門雑誌「オーパン・ヴェルト」にポートレート"有望なるソプラノ歌手誕生"が掲載される。更に、同州立劇場よりそれまでの功績を称えられ「銀のマスク賞」が受与される。国内では朝比奈隆新日本フィルハーモニー交響楽団特別演奏会に出演。大阪フィルハーモニー交響楽団定期演奏会出演。ソロリサイタル開催。
2000年3月、21年間のドイツ生活を終え、ドイツ人夫と共に鹿児島に移り住む。帰国後、声楽家有志の会「歌の翼に」を主宰し、鹿児島県内を中心に離島でのコンサートや慰問コンサートなど音楽活動を行っている。
現在鹿児島大学教授教育学部非常勤講師、鹿児島国際大学短期大学部非常勤講師を勤める。

 



小谷裕幸

鹿児島大学教養部、法文学部に合計39年間勤務し、現在名誉教授
ドイツ学術交換奉仕会の奨学生としてドイツのマインツ大学に留学
専門分野 ドイツ語ドイツ文学、児童文化論
研究領域 ゲーテの文学、フリッシュの文学、スイスの社会と文化、
     昔話の国際比較及び心理学的解釈、東西文化の交流
翻  訳 G.クライトナー著『東洋紀行』全3巻、(共訳、平凡社東洋文庫)
     S.バル作『ふしぎな どうぶつえん』
     S.バル作『びっくり どうぶつえん』
インタヴュー 『MOE』~イーダ ボハッタ=モルプルゴ(絵本作家)~(偕成社)



松崎めぐみ(ソプラノ)

鹿児島大学教育学部音楽科卒業。
音楽を現在,中村かし子,ディータ・ブレンケの各氏に師事。
第43,44回南日本音楽コンクール優秀賞。
第16回鹿児島県新人演奏会出演。
第12回宮日音楽コンクール優秀賞。第9回九州音楽コンクール銀賞。
第2,3,4回都城音楽祭声楽コース受講。
松田ピアノ友社ついたちコンサート出演。
声楽家有志の会「歌の翼に」代表,鹿児島リベロアンサンブル団員。
現在,曽於市立末吉中学校教論。曽於市在住。



手塚洋子(メゾンソプラノ)

鹿児島短期大学音楽科声楽コース卒業。声楽を野崎淑子、中村かし子、中村智子、ウーヴェ・ハイルマンの各氏に師事。
第32回卒業演奏会出演。
第21・22・24・25回霧島国際音楽祭、
第1・2・4回都城音楽祭声楽アカデミー受講。
第25回霧島国際音楽祭ロビーコンサート出演。松田ピアノ友社ついたちコンサート出演。
第8・9回歌曲とアリアのタベジョイントリサイタル(都城市・鹿児島市)出演。
第2回谷山宗教音楽祭出演。
第53回南日本音楽コンクール優秀賞。
第11回宮日音楽コンクール優秀賞。
第8回九州音楽コンクール銅賞。



竹之内照美(メゾソプラノ)

玉川大学文学部芸術学科音楽部声楽専攻卒業
中塚智之.浜田尚子.中井進.池端ミチ子各氏に師事
神奈川県新人音楽会
全日本地方オペラ協議会東京公演
国民文化祭さいたま「カルメン」公演
鹿児島県民オペラ「若狭」公演
鹿児島のばら会「カルメン」「魔笛」「フィガロの結婚」「ヘンゼル・グレーテル」
声楽家有志の会「ヘンゼル.グレーテル」公演 等 に 出演
鹿児島のばら会所属



北野みどり(ソプラノ)

鹿児島大学教育学部音楽科卒業。巻木春男,齋藤裕,中村かしこ,中村智子の各氏に師事。
声楽家有志の会『歌の翼に』の会員として,慰問コンサートや演奏会に多数出演し,2008年7月には,ジョイントコンサートを鹿屋で開催するなど精力的に活動している。現在,鹿児島国際大学短期大学部音楽科の特別研究生。
鹿児島ハイドン協会に所属。



樺木野瑠津子(ソプラノ)

鹿児島市出身。
鹿児島高等学校 卒業。
鹿児島大学大学院教育学研究科 修了。
現在 大島郡大和村立大和小学校 勤務
(音楽歴)
これまでに第1・4回 都城音楽祭受講。
「歌の翼に」のメンバーとして、施設訪問演奏会、
コンサート出演を行っている。



高取裕美(ピアノ)

鹿児島県立甲南高等学校卒業。鹿児島大学教育学部音楽科卒業。ヤマハ音楽教室システム講師として奄美大島に3年間勤務。その後,ドイツロシュトック音楽演劇大学「歌曲解釈演奏科」に入学。在学中,歌曲だけでなく室内楽やオペラプロジェクトのピアノ伴奏にも意欲的に務める。
2007年10月に帰国し,現在歌曲や室内楽のピアニストとして活動中。
歌曲解釈演奏法をクリスティアン・デ・ブロイン氏に師事。N.シェトラー,R.ヤンセン各氏のマイスターコースを受講。ピアノをクリスティアン・デ・ブロイン,山下晋,米丸鈴子各氏に師事。



樋渡かおり(メゾソプラノ)

県立松陽高校音楽科卒業。
沖縄県立芸術大学音楽学部音楽学科卒業。同大学研究生修了。
第13回定期公演、オラトリオ「エリア」アルトⅠソリストで出演。
春日交響楽団2005クリスマスコンサートで「題名のない音楽会」でお馴染みの曽我大介氏とモーツァルト「レクイエム」アルトソリストで共演。

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